隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。


「開けてみ?」



言われるがままに紙袋を開けると、その中に入っていたのは…



「……クマの」



私が宙みたいだと見ていたクマの置物。



それも、私が見ていたものより、ふたまわりも大きいもの。



「可愛いって言ってたろ」



え…?



「だから買ってくれたの?」



宙からの返事はなく、ただ顔をそらす宙。



だってそういうことでしょ?



───素直じゃない、宙。



昨日のすみれの言葉を思い出す。



「可愛いって言ったけど…大きければいいってもんじゃないのっ」



口はニヤけてるくせに、そんなことを口走ってしまっている私は、もっと素直じゃないかもしれない。



嬉しいよ、本当は。



直接お礼なんてムカつくから言わないけど……。



ありがとう、宙。

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