隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。
それと…
「助けてくれて、ありがとう」
これだけは伝えてあげる。
仕方ないから。
たっくんにあんな電話しちゃうくらい心配して、捜してくれて、助けてくれて……
いつもの宙とは違うけど。
ありがとう。
「別に。無事で良かった」
「ふふっ」
なんか、見直したよ宙。
「じゃあ、帰ろっか?」
もう時間は、日も暮れ始めた夕方だ。
「あぁ」
その返事を聞いて、歩き始める私。
「…待てよ」
そんな私を引き止める宙。
「……っ」
「…こうしてないと、また勝手にいなくなるだろ」
すっと繋がれた宙の大きな手と、私の小さな手。
そのまま無言で歩き続ける宙。
───バカ。
彼氏みたいなことして。
大ッ嫌いな幼なじみのくせに。
ただのウソ彼氏のくせに。