隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。
「何も」
「そんなはずないじゃん」
違うよ。
私の知ってる宙は、意地悪でムカつくことばかりして、私の大ッ嫌いな幼なじみのはずなのに。
いつしか優しくて、大ッ嫌いなはずの宙にドキドキして……
今だってそう。
このドキドキと波打つ音が消えてくれない。
「なんで、そんなに優しいのさ。いつもムカつくことしかしなかったくせに」
それから宙は黙ってしまった。
理由くらい教えてくれたっていいじゃん。
しばらくの沈黙に睡魔が襲ってきた。
……眠い。
もう、寝てしまおうか。
夢に落ちていく手前か後か…そんな間にいた頃だった。
「お前がかわいくてしかたねぇから」
…え?なに?
「茉奈が。お前が好きだからだよ」
そのまま私は深い夢の中に落ちた。