隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。
「ちょっと、玄関から帰んなさいよ!」
「だって鍵持ってねーし。じゃあ、待ってるから早く準備しろよ」
それだけ言い残して、窓から帰っていった宙。
本当に危なっかしくて見ていられない。
……ってそんなことより早く準備!!
学校祭であり、主役である私たちが遅刻だなんてありえない。
宙の部屋から丸見えな部屋を隠すようにカーテンをして制服に着替える。
ヘアアレンジとメイクは学校で担当の人がやってくれるから、適当に整える。
「……よし」
「おはよう、茉奈」
「おはよ!ごめん、時間ないからご飯いらない!」
「茉奈、食べなきゃ力でないわよー!ひとつくらい食べなさい」
そう言って手渡された、今日の朝食のロールパン。
ほんのり甘くて美味しいんだ。
「いってきまーす」
ロールパンを口の中に放り込んで、勢いよく外に出た。