隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。


「相変わらず女は準備遅いな」



やれやれという表情で、壁にもたれかかって待っていた宙。



「ほら、後ろ乗れよ」



そう言いながら宙は、自転車にまたがる。



「いいよ、自分で行くし」



「茉奈漕ぐのおせーだろ。早く乗れよ」



宙の言うことは正しくて、私の漕ぐ速さじゃ絶対に間に合わない。



仕方なく宙の後ろに乗り、学校へ向かう。



……のは良かったんだけど。



「待って!ストップ!!……落ちるうー!」



私の声は、吹き抜ける風と一緒に流れて消える。



確かにこれくらい急がないと間に合わないけど……



事故る!



事故だけはいやああああああ!



そんな思いも届かず、学校についた頃にはヘトヘトになった私。



「よく落ちなかったな」



「落とされるなんて……たまったものじゃない…」



自力で立てないほどになってしまった私は、宙に背負われて教室へ向かった。



そのせいで朝からひやかしの嵐だ。

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