隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。
劇は順調に進んでいき、ついにラストシーン。
ラストシーンに映るために場面転換が行われる。
その間に配置につく。
移動の途中で緊張している茉奈を見つけた。
初めて演技をした時はあんなに棒読みだったくせに、1ヶ月で成長したよな。
「大丈夫」
「へっ?」
俺はそんな茉奈に一言だけ声をかけて自分の配置につく。
すると、茉奈が俺の方に振り返った。
俺はもう一度〝大丈夫〟と口にした。
そうは見えないくせに、かなりの心配性だから。
暗闇の中で茉奈は頷いた。
そして、照明が付き、始まったラストシーン。
「白雪姫っ……」
「死んじゃいやだよ!」
「わーん」
小人と森の動物たちがすすり泣く。
そこに王子様の登場だ。
ゆっくりと白雪姫に近づいていく。
ふかふかなベッドの上で眠る茉奈。