隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。
「なんて綺麗な姫なんだ…」
そう呟いて、さらに白雪姫に近づく。
「まるで眠っているようだ」
隣に立ってそんなセリフを言いながら、白雪姫の髪をそっと撫でる。
本当にサラサラだな、茉奈の髪。
ここまで、演技は順調だ。
もうすぐこの劇が終わる。
「可哀想な白雪姫…」
これで、白雪姫の劇が終わる。
目をつぶる茉奈に顔を近づけていく。
「いいよ」
目を開けていい合図。
顔が近いまま目を開けるのは嫌だと、俺が合図を送ることになった。
それで俺が顔を離して、このキスシーンは終わり。
……のはずだった。
「……ちょっ、竜っ」
「えっ……」
それは一瞬の出来事だった。