隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。


「おい、どこにいんだよ」



キョロキョロとまわりを見渡す。



すると奥に、どこか得意気でどこか身構えている竜也を見つけた。



俺は見つけるなりドカドカと進んでいく。



「竜也、ちょっと来い」



「わあー、宙くん怖い」



「チッ」



この野郎、なめやがって……



身構えているくせに、不敵な笑みは顔に張り付いたままだ。



まだ劇の余韻に浸っている体育館から離れ、あまり使われず人通りの少ない階段へと足を進めた。



「宙、そんなに怒んなよ」



俺を慰めにかかる竜也。



すぐ許すほど俺は甘くない。



「あのな、何したかわかってんの?」



「キスでしょ?どうだった?茉奈ちゃんとの初めてのキスは」



この野郎……



完全に俺を弄んでいる。


< 281 / 314 >

この作品をシェア

pagetop