隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。
「おい、どこにいんだよ」
キョロキョロとまわりを見渡す。
すると奥に、どこか得意気でどこか身構えている竜也を見つけた。
俺は見つけるなりドカドカと進んでいく。
「竜也、ちょっと来い」
「わあー、宙くん怖い」
「チッ」
この野郎、なめやがって……
身構えているくせに、不敵な笑みは顔に張り付いたままだ。
まだ劇の余韻に浸っている体育館から離れ、あまり使われず人通りの少ない階段へと足を進めた。
「宙、そんなに怒んなよ」
俺を慰めにかかる竜也。
すぐ許すほど俺は甘くない。
「あのな、何したかわかってんの?」
「キスでしょ?どうだった?茉奈ちゃんとの初めてのキスは」
この野郎……
完全に俺を弄んでいる。