隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。


でも初めてのキスは、まあまあ……って。



「ふーん、良かったんだ」



「なっ、そんなことねーよ。触れるだけのキス」



「普通のがしたいって?」



「…あのな」



なんか、怒ってんのがバカバカしくなってきた。



まんまと竜也に丸め込まれたってことだ。



「はぁ…」



俺は大きなため息をつき、階段の一番下に腰掛けた。



俺に続いて竜也も数段上に腰掛ける。



「それで、何のためにこんなことしたんだ?」



冷静になってから竜也に問いかけた。



「それは、決まってるでしょ。宙と茉奈ちゃんの関係に進展が全くないから」



たしかに茉奈と進展なんか全くない。



ケンカが少なくなったことくらいで、関係性は幼なじみから1ミリもずれていない。

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