隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。
「とりあえず、後夜祭の花火に誘いなよ」
そう指示を受けた。
竜也はもちろんすみれを誘う。
そうすれば自動的に茉奈はひとりになる。
竜也は「ちょうどいいでしょ?」と得意気だった。
「わかったよ……じゃ帰るわ」
「え?帰んの?これからシフトじゃん」
「茉奈と顔合わせらんねーだろ」
茉奈だって会いたくねーだろ、今は。
だからまた明日。
「結構キス効いたんだ…」
後ろからクスッと笑いが聞こえて振り返る。
「なんだよ」
「なんでもない。それより明日、ちゃんと誘って告白しろよ?茉奈ちゃんと幼なじみ以上になりたいなら」
わかってるよ。
誘えばいいんだろ?誘えば。
告白でも何でもしてやるよ。
それからずっと、俺の頭の中からステージの上でしたキスのあとの頬を赤く染めた茉奈の顔が離れなかった。