隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。


「茉奈ちゃんは碓氷くんのこと好きじゃないの?」



「え……」



少し前なら躊躇もせず〝大ッ嫌い〟と答えていたと思う。



なのに、今はそう答えられなかった。



「ふーん、そっかそっか」



微笑ましそうに私を見つめるすみれ。



「なにっ…?」



「やっと茉奈ちゃんに恋の季節がやって来たんだなって」



「恋の、季節…?」



「そうそう。茉奈ちゃん、碓氷くんにドキドキしてるでしょ?」



な、なんでバレてるの!?



すみれには隠していたつもりだったのに……



「キスした後の茉奈ちゃんの真っ赤な顔、かわいかったよー。恋する乙女って感じっ!」



キスって……


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