隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。


「仕方ないから一緒に見てあげる」



口から出たのは気持ちとは違って、上から目線。



本当に素直じゃないんだな。



でも、素直になんて恥ずかしくて……



小さい頃からずっと近くにいる宙に、いきなり素直になるなんてできない。



「へっ」



「行くぞ」



「行くってどこへ?」



「花火見るんだろ?見やすいとこだよ」



突然歩き出した宙。



それに…



「この、手は……」



不自然さなんて全くなくて、スッと私の手を取って歩き始めたんだ。



そんな何気ない行動にまでドキッとしてしまう私がいた。



「繋いでねーと迷子になるだろ」



こんな見慣れた学校で迷子なんて……



なるわけないじゃん。



なんて思いながらも、なんだか手を繋いでくれたのが嬉しくて───。


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