隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。


〝じゃあ、聞いてみたら?〟



すみれの声が響く。



宙が私のことをどう思っているのか。



〝お前が好きだ〟というあの言葉は夢なのか現実なのか。



現実って言われてもどうしたらいいかわからないけど、夢だとしたら……



私のとんだ勘違い。



そんな恥はかきたくない。



けど……



あの後お店に入ってクレープを食べた時、すみれに言われたんだ。



〝かっこいい王子様の役をした碓氷くんのことだから、先に誰かに取られちゃうかもよ?〟



それは、嫌だと思った。



宙は私の幼なじみ。



家も隣、部屋も隣、席も隣。



隣にいることが当たり前の宙。



仮にも他に彼女ができたら、私の隣からはいなくなる。



宙は私のものじゃないから。



当たり前の日々が当たり前じゃなくなる。



そんなのは嫌だった。


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