隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。


「ねぇ、宙」



「あのさ…」



声をかけたのは同時だった。



「なに、先に言ってよ」



「茉奈が言えばいいだろ?」



「いいって、大したことじゃないし…」



「俺だって別に……だから先に言えよ」



譲り合う私たちは、何も話が進まない。



しばらくして、先に口を開いたのは私だった。



「夢を見たの」



「夢?」



本当に大した話じゃないなんて顔をしながら聞いている宙。



それでいいよ。



それくらいの気持ちで聞いてくれた方があとから楽かもしれない。



「あのね?本当にありえないのっ!夢の中でさ、宙がお前が好きだって言うの。現実じゃ想像できなくて笑っちゃったー」



冗談かのように話す。



そのくらいのノリで聞いてくれればいいの。



私は普通を装って話した。


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