隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。
隣にいる宙は、驚いたような目で私を見ていた。
目が合って、恥ずかしくてすぐに顔をそらしてしまう。
「見ないでよっ」
きっと今の私の顔は真っ赤だから。
そんなの見られたくない。
「ふっ、素直じゃねーな、茉奈」
「う、うるさいっ」
「仕方ねーから、茉奈の本当の彼氏になってやるよ」
私に対抗してくる宙。
なにこれ、さっきまで私の方が優勢だったのに、いつの間にか形勢逆転だ。
「俺は、ずっと茉奈が好きだった。俺と付き合ってくれますか?」
「…仕方ないからっ」
「最後くらい、素直になれよな」
わかったよ、素直になればいいんでしょ?
空を見上げて花火を見る宙。
宙だけそんな余裕そうなの、なんかムカつく。
だから、仕返ししてあげる。
花火の明かりで浮き上がる宙の顔。
そっと私はキスをした。
次は本物のキスだよ。
「私は、宙が好き」
これでいいんでしょ?
私の隣の、大好きな彼氏様。
end.