隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。
「……ん?」
頭を抱え込んでいた私の鼻が何かに反応する。
なんか、いい匂いがするような……
部屋を出ると、その匂いは一層強くなる。
どうやら一階から匂ってきているらしい。
もしかしてお母さんとお父さん帰ってきてるの?
だとしたら、とっても早い帰宅。
珍しいな。
いつも昼ぐらいまで帰らないのに。
まだ眠たくて重い目をこすり、大きなあくびをしながら階段を降りていく。
「おはよー、お母さん。今日は早かっ……!?」
リビングのドアを開けて、キッチンを見た私はそのまま固まった。
目の前の状況が読み込めない。
なんでアンタが……
「なんで家に宙がいるのよ」