隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。
制服に身を包み、髪の毛を器用にお団子にする。
「よし、おっけー」
鏡の前で最後の身だしなみチェック。
「お待たせっ!……ってあれ?」
なんでいないのよ。
まさか本当に置いて先に行ったわけ?
ありえないし!
宙への怒りを込めて、力を込めて玄関のドアを開ける。
「…あれ?いる……」
家の前には、自転車に股がる宙がいた。
「待っててくれてたんだ」
「立ち止まってないで、早く後ろ乗れ。まじで遅刻する」
私は言われるがままに、自転車の後ろに乗る。
「ちゃんと俺に掴まっとけよ」
「わかったって……わぁっ!」
速い、速すぎる!
「落ちる落ちる!」
「落ちんなよ?」
「なら、スピード落としてえぇー!」
宙の漕ぐ暴走自転車に揺られながら、学校へと向かった。