隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。
「せっかくお前が餓死してないか見に来てやったのに」
「そんな数時間で餓死するわけないでしょ?それにちゃんと今ご飯作ってるんだから、邪魔しないで」
宙は私をなんだと思ってるの?
私のこと見下しすぎじゃない?
「ちょっと茉奈…お前……」
「な、なにっ」
いつの間にか隣に来ていた宙。
そんな宙の視線の先は私の手。
「あ……これはちょっとね?そ、その乾燥の時期だから赤切れが…」
「見てらんない」
ため息をついた宙は「代わって」と一言告げて、私の手から包丁を受け取り、器用に残りの野菜を切り始めた。
宙の包丁さばきは、見入ってしまうほど。
綺麗に切られていく野菜たち。
あんなにかかった時間がウソかのように、宙の手にかかればあっという間に切り終えていた。
「どうせカレーライスでも作ろうと思ってたんだろ?俺が作るから待ってろ」
さっと腕まくりをしてカレーライス作りを始める宙。
「なんでカレーライスだなんてわかるのよ」
「材料見ればなんとなく想像つくだろ」
「私がやるから、もういいよ」
「お前に火なんて使わせたら火傷しかねない」
もう宙に何を言ってもダメだ……
追い返すこともできず、結局今日の夕食も宙に作ってもらうことになった。