隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。
……つまらない
リビングのソファーに座って足をブラブラさせても、時間は全然過ぎない。
チラッとキッチンを覗きに行けば、宙に追い返される。
暇を持て余してリビングを歩き回れば「うるさい」と宙に怒られる。
「茉奈、炊飯器のスイッチ入れて」
「はーい」
私がやったことといえば、これくらい。
「リビングにいろって言ったろ」
「邪魔してないもん、カレー見てるだけだもん。しかもこっちリビングだし」
うちのキッチンは対面式。
だから、リビングにいてもキッチンを覗くことができる。
これなら文句ないでしょ?
見てるだけなら邪魔にならないし。
グツグツと煮込まれるカレー。
スパイスのいい香りが漂っている。
グゥ〜
「あっ……」
「お腹鳴ってやんの」
「うるさいなぁ」
お腹空いたんだから仕方ないじゃん。
こんな美味しそうな匂い嗅いでいれば、お腹だってすくよ。