隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。


……つまらない



リビングのソファーに座って足をブラブラさせても、時間は全然過ぎない。



チラッとキッチンを覗きに行けば、宙に追い返される。



暇を持て余してリビングを歩き回れば「うるさい」と宙に怒られる。



「茉奈、炊飯器のスイッチ入れて」



「はーい」



私がやったことといえば、これくらい。



「リビングにいろって言ったろ」



「邪魔してないもん、カレー見てるだけだもん。しかもこっちリビングだし」



うちのキッチンは対面式。



だから、リビングにいてもキッチンを覗くことができる。



これなら文句ないでしょ?



見てるだけなら邪魔にならないし。



グツグツと煮込まれるカレー。



スパイスのいい香りが漂っている。



グゥ〜



「あっ……」



「お腹鳴ってやんの」



「うるさいなぁ」



お腹空いたんだから仕方ないじゃん。



こんな美味しそうな匂い嗅いでいれば、お腹だってすくよ。

< 96 / 314 >

この作品をシェア

pagetop