隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。


***



それからしばらくして、私がお風呂から上がっても帰らない宙。



それも昨日と同じように、私をソファーの前に座らせて髪の毛を乾かされる始末。



そろそろ帰るだろうと、思ったけれど帰る気配もない。



「いつまで家にいる気?」



とうとう痺れを切らした私は宙に問いかける。



「あ、茉奈、風呂借りるな」



いやいや、答えになってないし……



って今なんて言った?



風呂借りる?



「ま、待って!家隣でしょ?自分の家で入りなさいよ!」



「また戻ってくるのに、風呂入るためだけに家帰れってか?」



また戻ってくる?



何言ってるのこの人は。



ぼーっと考え込んでいると、躊躇もせず私を避けてお風呂場へ向かう宙。



「ちょっと待ってって!風呂くらい自分の家で!」

< 99 / 314 >

この作品をシェア

pagetop