わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜
「ところで狛くんはどうして音楽室にいたの?」
ふと、思い付いた疑問。
こんな訳のわからない状況で紙も持っていない狛くんは音楽室に用事なんてないはずなんだけど…。
「…………………さあ」
「えっ」
若干首を傾げた狛くんに、つい驚いてしまう。
さあ、って…。
教えてくれないって意味?それともただなんとなく、ってこと?
やっぱりなんか…狛くんってわからない。
「さてと…『あの子』も消えたことだし………」
そこまでいって、狛くんは歩き出した。
迷いのない足取りに、慌てて腕を掴む。
「ど、どこいくの?
その…良かったら一緒に行かない?
探索する場所、わかってるから」
放送室で拾った紙を取り出して見せる。
一人より二人の方が安心だし、用事も無いだろうから誘ってみたけど。
「…………行かない」
「あ、狛くん!」
ふい、と顔を背けた狛くんは、私の手を払いそのまま歩いて行ってしまった。
な、なんでだろう…??
用事なんてないはずなんだけど…。
転校してきたばっかだし、見て回ってるとか?
いやいや…あんな怖い幽霊がいるところでそれはちょっと…ないんじゃないかなぁ…。
「………仕方ないかぁ…」
ふぅ、と溜め息をついた私は、懐中電灯をつける。
これまでも何回か一人だったしね。
大丈夫大丈夫。
半分くらい自己暗示しながら、私は教室を出た。