わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜
扉を開けたままにした私は、教室内へと踏み込む。
襲ってこないことを見ると『あの子』ではないっぽいんだけどね。
「あのー…誰かいる…?
私、芽衣だけど…」
「っ!
め、芽衣…ちゃん…?」
カタン、と美術室の後ろの方の椅子が動く。
そして、ゆらりと小柄な人の影が姿を現した。
「あ!桜ちゃん!!
良かったぁ………そうだ、朱里さんは?」
笑顔で近付くと、不安な表情をしていた桜ちゃんが少し笑顔を見せてくれる。
けど、すぐ悲しそうな顔に変わった。
「あ…えと……はぐれちゃって…。
なんか、髪の長い女の子が追いかけてきて、バラバラの方向に逃げちゃったの…」
話によると『あの子』は朱里さんについていったから桜ちゃんは助かったらしいけど、そうなると朱里さんが心配だ。
校内放送が流れてないから死んでないのは確実だけど、先生みたいに瀕死の状態だったら………。
ううん、きっと逃げ切ったよね。
うん、そう信じよう。
「…………そっか。
あ、他に誰かに会ったりした?」
少しでも場の空気を明るくしようと明るい口調で言ってみる。
桜ちゃんは少し考えたあと、うん、と言った。