わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜
「………桜ちゃん、見張りかわるよ」
なんだかその場の空気に居心地の悪さを感じた私は、丁度家庭科室の前で見張りをしていた桜ちゃんに声をかける。
ピクリ、とそれに反応した桜ちゃんが、ふるふると首を降った。
「……ありがとう、でもまだ良いよ。
私、頭悪いから…芽衣ちゃんが話し合いに参加した方が良いと思うの」
にこっと笑ってそう言った桜ちゃん。
でもそれに私は、少しの違和感を覚えた。
どうせ誰もしゃべっていないから、私でも桜ちゃんでもあまり変わらないこの状況。
頭の良し悪しだって、特に私が良いわけじゃないのに…。
それに、みんなといる方が一人で見張っているより怖くないと思うし。
別に、ただ純粋にそう考えて言っただけかもしれない。
でも、なんだろう?
なにか、違和感を感じる。
桜ちゃんに?
それともこの場に?
……………わからない。
ほんの些細な、この違和感。
「……そっか。わかった」
無理して代わる必要もないから、素直に引き下がってみんなの元に戻る。
相変わらず申し訳なさそうな朱里さんに、真剣に考え込んでいる様子の歩。
みんなから出た意見をまとめた歩の生徒手帳を睨み付けるように見ている。
何を考えているのかわからない、ただ座っているだけ、といった感じの狛くんと、向こう側の空き教室の方の廊下を見張っている悠人くん。
そして、私。
違和感は誰にある?
ううん、みんな違和感なんて無い。
ない、はず。