わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜
「悠人くん。見張りかわるよ」
心の何処かがモヤモヤした気分のまま、今度は悠人くんに話し掛ける。
すると、悠人くんはパッと此方を振り向いて立ち上がった。
「おう」
短くそう返事をして、悠人くんは私の横をすり抜けていく。
………………。
やっぱり、一人で見張りは怖かったのだろうか。
話し掛けてからの交代が早い。
さっきまで悠人くんが座っていた場所にそっと腰掛けて、廊下の奥を見詰める。
………なんの気配もない。
影も、動きも、変化も。
『―――――――――』
「え?」
瞬間、何処からか、音が聞こえた気がした。
よくは聞こえなかった。
幻聴かもしれない。
でも幻聴にしてはあまりにも繊細な声。
『―――委員長』
確かに、そう。
「ねぇ!今、なにか聞こえなかった!?」
慌ててみんなに声をかけるけど、全員がきょとんとした顔で此方を見ただけだった。
と言うことは、この中の誰かが私を呼んだわけではない。
多分、女の人の声だった。
なんとなく、低くはなかった気がするから。