わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜





「悠人くん。見張りかわるよ」



心の何処かがモヤモヤした気分のまま、今度は悠人くんに話し掛ける。


すると、悠人くんはパッと此方を振り向いて立ち上がった。



「おう」



短くそう返事をして、悠人くんは私の横をすり抜けていく。


………………。


やっぱり、一人で見張りは怖かったのだろうか。


話し掛けてからの交代が早い。


さっきまで悠人くんが座っていた場所にそっと腰掛けて、廊下の奥を見詰める。






………なんの気配もない。


影も、動きも、変化も。






















『―――――――――』




「え?」







瞬間、何処からか、音が聞こえた気がした。


よくは聞こえなかった。


幻聴かもしれない。


でも幻聴にしてはあまりにも繊細な声。





『―――委員長』




確かに、そう。




「ねぇ!今、なにか聞こえなかった!?」



慌ててみんなに声をかけるけど、全員がきょとんとした顔で此方を見ただけだった。


と言うことは、この中の誰かが私を呼んだわけではない。


多分、女の人の声だった。


なんとなく、低くはなかった気がするから。




< 138 / 168 >

この作品をシェア

pagetop