わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜
淡々とここに来てから今までのこと、そしてその石の秘密を暴いた訳を話す狛くんに、誰もが聞き入る。
そして私は、初めて狛くんの笑う顔を見た。
口角を少し上げて、まるで悪戯を思い付いた子供みたいに意地の悪い笑いかた。
いつも飄々としていた彼からは想像がつかないその顔に、私はただ追い付かない頭を必死に回しながら食い入るように見つめることしか出来なかった。
「……………そっかぁ。
紙と石、一緒の人に渡らないようにしようと思ってたんだけど。
渡らなくても気付かれるとは思わなかったなぁ。
君、やっぱり頭の回転が早いね…」
「…………お前の負けだ。
ここに呼ぶ人選、間違えたな」
「そうかもね。
だってまさか『あの子』にメトロノーム投げるなんて思わなかったんだもん。
君の性格はよく知ってるし、あんまり怖がらない人だってことはわかってるつもりだったんだけど…。
ここまでとはね、流石の私でもわからないよ」
その言葉に、またもや引っ掛かりを覚える。
さっきの桜ちゃんの言葉は、多分見張りと称して『あの子』を呼ぼうとしていたから代わらないと言ったんだろう。
桜ちゃん本人だったら言わないであろう言葉に、私は違和感を感じたんだと思う。
でも、今は?
……『狛くんのことはよく知っている』。
多分……このフレーズだと思う。
流石の私、って、佐久間さんの記憶を貰っただけなら狛くんのことは一切知らないはず。
だって、転校してきたんだから。
でも知っているのは何故?
それと……。
「もう1つ聞く。
俺をここに呼んだ理由は何だ?」
「…………………」
狛くんが、よくしゃべる。
ずっと無表情で、問い掛けたときや必要な時くらいしかしゃべらなかったのに。
今は笑ったり、眉を潜めたり、自分から問い掛けたり。
今まで皮を被っていたかのようで。