わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜
とりあえず『あの子』に場所が知られている今、いつ来るのかわからないから、早くこの場から離れた方が良いだろう。
そう思って、朱里さんを立ち上がらせようと手を差し出した、その時だった。
頭のなかに直接響くような…さっきも聞いた、あの声が私を呼んだのは。
『―――委員長!後ろ!!』
切羽詰まったようなその声に、咄嗟に後ろを振り返る。
そして、目を見張って叫んだ。
いや…叫ぶことしか出来なかった。
「―――悠人くん!後ろ!逃げて!」
階段を正面に見て、左の廊下に近いところにいた悠人くん。
「………ちょーだい」
そのすぐ後ろに、何処から現れたのかもわからない『あの子』が迫っていたのだから―――。
ドンッ!と言う、何かが何かを突き飛ばした音。
それが聞こえるまで、私も、皆も、『あの子』に襲われていた悠人くん本人でさえ、1歩も動くことは出来なかった。
唯一、一人だけ動いたのは。