わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜
「ゆ、う……と………逃げ……」
「歩!?」
悠人くんをかばった、歩だった。
歩のお腹からは、血で染まった肌色の腕が伸びている。
それが背中から貫通しているのは一目瞭然で。
「…あ………あぁ………」
「なに、やって…っやく逃げろよ…!
こっち来んなよ悠人!!」
ふらふらと歩に近付く悠人くんに、歩が怒鳴った。
いつも温厚な歩からは想像できない絶叫。
それだけ…悠人くんを死なせなくないのだと、直感でわかる。
「んで…なんでだよ…俺なんかかばってんじゃねぇよ…」
悠人くんが流した涙が、パタリと地面に落ちる。
全員、まだ逃げていない。
歩を置いてはいけないもん。
でも…もしこれで歩が死んで…他の人まで死んだら?
『あの子』に歩と同じくらい近い、悠人くんが殺されたら?
それこそ…歩は無駄に体を張ったことにならないかな。