わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜
「……………皆、逃げよう」
声を絞り出して、私はそう言った。
苦しそうな歩の顔が私を見て、ほっとしたように微笑んで。
その顔をみた全員が、ハッとしたように走り出した。
私と、悠人くんを除いて。
「嫌だ…歩を置いて行くなら死んだ方がマシだ…!」
「悠人くん!」
「離せ!お前は逃げろよ!
俺は行かない!」
必死に歩に手を伸ばす悠人くんの腕をつかんでも、振り払われる。
歩はすがるような目で私を見ていた。
その目を見て、私は心を決めた。
「……いい加減にしてよ悠人くん!」
振り払われた右手を、そのまま悠人くんの頬に向けて振り上げた。
パンッと乾いた音が響く。
『あの子』でさえも、状況がわかっているかのように今は音を立てない。
その場がしんと静まり返って、私は深呼吸をした。