わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜
「……悠人くん。
歩は悠人くんを助けたんだから。
歩の意思を悠人くんが拒否してどうするの?
悠人くんはそんなに歩の命を無駄にしたいの?」
「そ…れは……」
「歩のこと、大切に思ってるなら。
せめて、歩が身体を張って、死ぬ覚悟をしてまで守ろうとした命を…守りなさい」
「………………」
「……行くよ、悠人くん」
黙った悠人くんの腕を引くと、今度はすんなりとついてくる。
「……歩…悪い…」
声は震えていて、泣いているのがわかるけれど。
俺は生きると、決意したみたいで。
「……芽衣ちゃん、ありがとう。
悠人も…ちゃんと生きろよ、俺の分まで」
後ろから聞こえたその声に、私たちは振り向かなかった。
あわせて、グチャリという音も聞こえてきたけれど。
私たちはそれを振り払うように走り出しただけで、決して振り返りはしなかった。