わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜
そっと教室から出て、すぐ側の階段をかけ上がる。
音楽室に行くことを考えて階段に近い教室に隠れたことが幸いしたのか、思いの外すんなりと音楽室まで行くことが出来た。
「………来たわ」
「朱里さん、狛くん!
遅くなってごめんね」
「………………」
廊下で二人の姿を見付けた私だけど、少しそれに疑問を感じる。
「えっと…なんで音楽室に入らないの?」
廊下より、音楽室の中の方が『あの子』が来ても見つからない可能性が高いのに。
二人は音楽室のドアを締め切ったまま、廊下に立っている。
「……この中には二度と入りたくないわ。
桜が襲われたの…ここみたいで」
朱里さんがそう答えたっきり、言いにくそうに口をつぐむ。
桜ちゃん…?
まさか…この中に桜ちゃんの遺体が…?
「あ…じ、じゃあ、狛くんのゲームクリア方法考えよっか」
もうこれ以上の犠牲者は出したくないから。
敢えて暗い話なんかしなくても良いよね?
今までよりも、これからを考えよう。