わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜
そういってこちらを振り向いた望絵に、思わずナイフを隠すようにポケットへ滑り込ませる。
「芽衣?どうかした?」
「あぁ、ううん。
幽霊ってなんのことかなぁって。
もしこれから出てくるんだったら…嫌だよね」
「………こわっ。恐怖だわ」
…こんなものを持ってて望絵に怪しまれるのもあれだし…黙っててもいいかな。
なんて考えた……………その時だった。
「うわっ!?なんだお前は!
うわ、わ、こっちへ来るなぁぁ!!」
図太い男の人の叫び声が聞こえたのは。
「えっ、今の渡辺先生だよね!?
何?何があったのっ!?」
「望絵、ストップ!
一旦隠れよう。
もし先生にもどうにも出来ないようなものだったら、私たちが行ってもどうにもならないよ!」
出来るだけ小声で、かつ早口でそう告げた私は望絵の腕を引っ張って家庭科準備室へと駆け込んだ。
さっき、包丁をとりに入った場所だ。
静かにね、という意味を込めて人差し指を口の前に持ってくると、望絵が無言でこくこくとうなずいた。