わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜
技術室の扉に耳を押し当ててみるけど、何も聞こえない。
多分…何もいない…よね??
「…………………………」
いくら死んでないとは言え、先生の腕などには浅い切り傷がたくさんある。
それを見て、慎重にならないわけがない。
ガラ、と扉を開けて、何もないとわかって安堵。
こんなドキドキ感を何回も体験していかないといけないのか…と考えて、少し憂鬱になった。
どうせなら、恋愛感情のほうのドキドキをしてみたいよ。
「あ!芽衣、あったあった!
ぬいぐるみ!」
望絵の指差す方に目線を写すと…確かに、椅子に腰掛けるぬいぐるみの姿があった。
やっぱり、くまのぬいぐるみ。
「先生、これ引き裂けます?
あたしたちか弱い乙女なんで~」
望絵が冗談半分に言うけど先生には伝わらなかったみたいで、本当に引き裂いてくれた。
よくわからんがまあとりあえず…とでも思ってる顔だ。
「えっとね、『あの子は耳がいい。だが目が悪い』だってさ」
中からはまた紙が出てきて、望絵がまた読み上げた。
耳と目…?
「………なんだ?その紙…。
裏にも何か書いてないか?」
「え?あ、ほんとだ。
『気を付けて、後ろにいるよ』……」
先生の言葉に望絵が紙を裏返す。
後ろにいるよ………ね。
……………………。