わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜
ジョウケン
「つ、つまり………さっきまであたしたちが一緒にいたのは悠人じゃなくて『この子』だったってこと…?
あたしたちは騙されてたってわけ?」
とりあえず事の成り行きをすべて話した私は、なんとか理解したらしい望絵の言葉を肯定する。
普段の望絵なら『芽衣一人で3階に行かせるなんてサイテー!』とか言いそうだと思ったけど、流石に今は恐怖が勝っているのか話を真剣に聞いてくれた。
「うん、そう。
その前に悠人くんが冗談半分くらいで決めた合い言葉が役に立ったよ」
幽霊と一緒にいたという事実がそれほどまでに怖かったのか、望絵は軽く放心状態で黙りこんでしまった。
でも1つわかったことがある。
『この子』と一緒にいたこの望絵は…間違いなく本物だ。
同時に二人『この子』がいるわけないもんね。
いや、むしろここではそれもアリなの?
…………ない、よね??
先生が襲われる前に見た紙の内容だって覚えていたし、本物なはず。
『この子』はきっと現実の私たちになりきってくるんだと思う。
だけど、この世界で変わった私たちのことはわからない。
私たちを常に監視しているわけじゃない。
こっちに来てからの私たちはわからない。
それを逆手にとれば、逆に『この子』を騙せる…と思う。