わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜
「目、ちょーだい」
「いやぁ!!!」
狭い室内だったからなのかやけに大きく聞こえた声に、思わず声が出てしまった。
慌てて口を押さえるけど、『あの子』はもう追いかけてきているだろう。
早く逃げなければ…と半分しか開いていない扉をすり抜けて出た先に、一瞬狼狽えてしまう。
そこは廊下じゃなくて、紛れもない音楽室で…。
そこで、ふと思い付く。
第2音楽室…。
音楽室と、第2音楽室は…準備室で繋がっていた?
準備室なんて入ったことないから考えてなかった。
「ちょーだい」
真後ろから聞こえた声に、弾かれたようにその場を駆け出した。
とにかく出口へ。
その思いもむなしく、恐怖で足がもつれる。
扉はまだ先なのに、尻餅をついてしまった。
「目…………」
歩く『あの子』から、必死に後ずさる。
そして、背中に感じるかたくて冷たい壁。
後ろにもう逃げ場はない。
失敗したな…。
音楽室に逃げてこなければ良かった。
後悔しても後の祭り、とはこのことなのだろう。