わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜






私に手を伸ばす『あの子』を見ていると、一瞬『あの子』が動きを止めた。



…………何?



「……………目………ちょーだっっっ」



ゴンッ!!!と凄い音がしたかと思うと、『あの子』は前のめりに崩れ落ちた。



『あの子』の後頭部からは血が流れていて、グロテスクに変形している。



そばにあるのは、その血をたくさん浴びた…何これ?



メトロノーム…?



「おい、何ぼさっとしてんだよ。
……………逃げるぞ」


「えっ、あの…」


「…………………」



黙って私の腕を引く後ろ姿に驚く。



この後ろ姿……。



チラリとさっきまで私がいた方を見ると、『あの子』がムクリと起き上がったのが見えた。



「…………はぁ…走るぞ」


「う、うん…」



彼もそれに気付いたのか、私に一言かけてから走り出した。



迷いない背中に、暖かい手。



なんだか安心出来て、さっきまで腰を抜かしていたのが嘘のように私は走り出した。




< 98 / 168 >

この作品をシェア

pagetop