わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【後編】〜
私に手を伸ばす『あの子』を見ていると、一瞬『あの子』が動きを止めた。
…………何?
「……………目………ちょーだっっっ」
ゴンッ!!!と凄い音がしたかと思うと、『あの子』は前のめりに崩れ落ちた。
『あの子』の後頭部からは血が流れていて、グロテスクに変形している。
そばにあるのは、その血をたくさん浴びた…何これ?
メトロノーム…?
「おい、何ぼさっとしてんだよ。
……………逃げるぞ」
「えっ、あの…」
「…………………」
黙って私の腕を引く後ろ姿に驚く。
この後ろ姿……。
チラリとさっきまで私がいた方を見ると、『あの子』がムクリと起き上がったのが見えた。
「…………はぁ…走るぞ」
「う、うん…」
彼もそれに気付いたのか、私に一言かけてから走り出した。
迷いない背中に、暖かい手。
なんだか安心出来て、さっきまで腰を抜かしていたのが嘘のように私は走り出した。