音の絆
過去の記憶
-18番 蘭華中学校。
課題曲Ⅱに続き自由曲「火の鳥」。
アナウンスが終わり静まりかえったこの会場。
指揮者の指揮に集中する。
指揮者が指揮を振り上げ、一斉にブレスの音がする。
次の瞬間、弾けるような音が会場に響きわたった。
演奏が終わり会場は拍手がまきおこった。



「うぅー、どうかな?全国いけるかな?」
隣にいる咲姫が何度も何度もワタシに問いかけてきた。
「大丈夫だよ。行けるに決まってるよ。」
私は咲姫にはそう言っていたが内心はとても不安だった。
(結果はどうなんだろ....。
私の夏はここで終わっちゃうんかな....。)
そう考えてると、舞台上に審査員長が出てきた。
「これから、各団体の結果を発表します。
1番 江咲中学校 銀賞。2番恵野崎中学校 ゴールド金賞!....」
続々と呼ばれていく学校。
あたりでは泣く声や喜びの声があたりに響きわたっていた。
「17番 綺月中学校 銅賞 」
次がわたし達、蘭華中だ。
心臓がすごい速さで動いている。
となりの咲姫が手を握ってきた。
私は咲姫の手を強く握った。
「18番 蘭華中学校 ゴールド金賞!」
周りでは喜びの声が響いていた。
(金賞だ....。)
私は嬉しさのあまり声が出なかった。
「やったよ!金賞だよ!!」
となりの咲姫は泣きながら私に抱きついてきた。
私も、自然と涙が溢れてきた。
しかし、このあとが一番重要だ。
金賞団体は5校、そのうち全国に行けるのは2校だ。
「それでは、金賞団体から全国に推薦する団体2校を発表します。」
いよいよ、全国の切符を手にする学校が決まる。
私は願いつづけた。
「2番 恵野崎中学校!」
残る切符はひとつだけだ。
私は必死に願った。
「続きまして、15番 -。」
その言葉を聞いたとき私の頭の中は真っ白になった。


-私達の夏はここで終わった-
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