チョコレイトと親不知
Ⅰ
・あのこのうた
暖かい優しい声が、大音量で私の脳内を揺さぶった。
もう、どうでもよかったの。
寂しくて、寂しくて、手を伸ばした先に、
ただ、あのこが居ただけ。
--あのこのうた--
案の定、着信音は鳴らなかった。
なんとなく予感はしていたけど、やっぱりショックだった。
だけど、不思議と涙は出てこなかった。
涙は流しすぎると枯れてしまうのかもしれない。
そんなことを考えながら、私は重たい体をベッドからのそっと起こす。
服や雑誌で散らかった部屋を、ピンク色の遮光カーテンから漏れる光が照らす。
今、何時だろう。時計を見るのも億劫だ。
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3日前の夜、私は大学に一番近いライブハウスに居た。