4月1日の彼の嫉妬と彼女の本音
ベッドサイドに座った波留は無言で私に寝そべるように促した。


「あの、波留?」

「何?」

「移るよ?」


流石に、『すぐに帰る』と言っていたはずの波留だが『帰らないの?』とは言えない。


無言で私を見つめる波留に戸惑う私。

今までの経験上、こう言う時の波留は機嫌が悪い。


何かしたっけ?


そう考えてみるけど、昨日から寝込んでいる私に思い当たる節は無い。


悩んでいると、波留はにっこり笑って言った。


その笑顔はどこか黒いオーラを纏っている。


「帰りませんよ」


「えっ?!」


メールではすぐ帰るって・・・


「あんなの嘘です」


「嘘?!」


驚く私に、波留は淡々と言った。


「だって、渚さん、あぁ言わないと来ちゃダメって言うから。

それに、今日はエイプリルフールですよ。

あんな嘘、信じる渚さんがいけないんです」



何だそれ?


「波留?風邪が移ったら困るでしょ?」



戸惑いを隠せないまま言ってみるけど、波留は微笑んだまま、覆い被さって来た。


驚いて、押し退けようとした私の手を波留が掴む。


「風邪が移らなきゃいいんでしょ?」


そう言って私の唇をふさいだ。
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