ランチタイムの王子様!
「さあ、どうぞ」
ムニエル用に切り分けてもらったイサキに塩胡椒をふりかけ下味をつける。下味をつけるという行為を教えてくれたのも王子さんだ。下味をキチンとつけると、味がしみ込むだけではなく、食材独特の臭みやクセを取り除いたり、食材そのものを柔らかくすることが出来るのだそうだ。
なんだか、料理って科学の実験みたいだ。
下味をつけたら、あとはイサキに小麦粉をつけて焼くだけだ。もし、水分が出ていたらキッチンペーパーでふき取っておくと余分な小麦粉がつかなくて、なおよし。
「えいっ!!」
バターをひいて温めたフライパンに、イサキをおっかなびっくりのせていく。
ひいっ!!粉がとんだ!!
「こら!!乱暴にしない!!」
「すいません!!」
脂がはねて火傷しそうだから、実はフライパンに食材をのせるこの瞬間が一番怖かったりするのだ。
「ほら、火を弱めて」
「はい……」
ジュージューと焼けていくイサキちゃんをフライ返しでひっくり返すと、ほどよい焦げ目がついていて嬉しくなる。
「見てください!!美味しそうです!!」
「当然です。不味いものを作らせるはずがないでしょう?」
王子さんってば自信家ですなあ。
白いプレートにムニエルと付け合わせとして茹でたじゃがいもと人参を添えると完成である。