ランチタイムの王子様!
「メニューは主食、肉、魚、副菜から適当にくじを引いて決定します。予算は肉魚が1,000円、その他は500円以内です。理解出来たらあなたもくじを引いて頂けますか?」
問答無用で差し出されたティッシュの空箱の中には4つに折り畳まれたメモ用紙が詰まっている。社員30人分、きっちりあるように思えた。
「わ、私もですか……?」
ちょっと待てい!!とツッコミを入れたくなるのを我慢して尋ねてみるも、王子さんの表情は変わらなかった。
「全員参加と先ほど申し上げましたが?」
「で、ですよね……」
アハハと誤魔化すように大きく笑い飛ばすと、やっぱりダメかとシュンと肩を落としながらくじを引いた。
(どうしよう……)
順風満帆だと思っていた矢先に、思わぬ落とし穴を発見してしまった。
……手料理なんて作れない。
だって、私は何を隠そう。
超ウルトラスーパーとんでもなく料理下手なのだ!!
「望月さんは肉料理担当、と……」
そんな私の心境など知ってか知らずか、サラサラとバインダーにくじ引きの結果をメモする王子さんがひたすら恨めしい。
入社したての私にルージュランチの支配者に逆らう気概などあるはずがなかった。