ランチタイムの王子様!
「……もしかして、今日呼んだのはそのため?」
「そうよ」
てっきり忙しい日々を送っているとばかり思っていたのに、裏でこんなことを画策しているとは……。
完璧すぎて張り合うことすら放棄し、幼い頃から憧れの存在でもある自慢の姉だが、この仕打ちはあんまりだった。
「お姉ちゃん……。私、今の会社を辞めるつもりないよ?」
つぐみ姉の言い方ではまるで、フィル・ルージュが信頼できない企業と名指しで批判しているようなものだ。
確かにイベント企画会社って浮ついているイメージがあるかもしれない。
でも、メディアに露出するような派手なものはほんの一部で、市の広報誌にも載らない地味なイベントだって引き受けることもある。
それこそ、○○先生を囲う会とか、120歳の誕生日を迎えた長寿のお爺さんを祝い会とか、個人のイベントだって依頼がある。
大きいイベントも小さいイベントも共通しているのは、どれも参加者の皆さんがイベントの開催を心待ちにしているってこと。
そして、私はそのお手伝いが出来ることに喜びを見出している。