ランチタイムの王子様!
「そう……。あなたの考えはよーくわかったわ」
つぐみ姉はあからさまに不服そうな顔でティーカップに新しい紅茶を注ぎ足すと、ゴクリゴクリとわざと喉を鳴らして飲み干した。
折角のお話を断ってしまって、機嫌を損ねてしまったのかもしれない。
……つぐみ姉の唯一の弱点は、私に対しては過保護気味になるという点だ。
でも、私だっていつまでも姉にくっついているような子供ではない。
(いつまでもつぐみ姉に頼っちゃダメよね)
居心地の良い実家を出て、遅ればせながら姉離れもして。これで、ようやく私も一人前の大人の仲間入りをすることが出来るのだ。
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。私、今の会社でしっかりやれているよ」
安心させるために言ったつもりの言葉が逆効果になるとはこの時、一体誰が予想できただろう。
私はその後、年季の入った過保護っぷりはそう容易く改善されるものではないことを思い知るのだった。