ランチタイムの王子様!
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(やっぱりまずかったかな……)
つぐみ姉とお茶を飲みに行ったその日にメールを送って以来、既に3日連絡がない。鳴らない携帯を前にして少しへこむ。
(怒らせちゃったかなあ……)
社長秘書をやっているだけあって、つぐみ姉の知り合いには企業の中でも上役の人が多い。その人達に職の斡旋をお願いしていたとしたら、頼んでいたつぐみ姉の顔に泥を塗るような真似をしてしまったかもしれない。
(でもでも!!フィル・ルージュに入社してからまだ5ヵ月しか経ってないんだよ!?)
やっと日々の業務にも人付き合いにも慣れてきて、これからって時に辞められないよ。
それに……。
しかめっ面でパソコンを睨んでいる王子さんを、書類を盾にして盗み見る。
会社を辞めたら王子さんの所に通う理由がなくなっちゃう……。
「望月さん。悪いんだけど応接室にお客さんが来ているから、コーヒー2つ持って行ってもらえる?」
「あ、はーい」
悩んでも良い解決策が浮かぶとは限らない。
そう気持ちを切り替えると麻帆さんに言われた通り、コーヒーを2つ入れてお盆に乗っけると、応接室の扉をノックする。
「失礼します。コーヒーをお持ちしました」
コーヒーを応接間のテーブルに置き、軽くお辞儀をしてから再び顔を上げた時に、上座につぐみ姉に良く似た顔がチラッと見えて腰を抜かすかと思った。