ランチタイムの王子様!

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「はあ……」

鍋の中身をグルグルと木べらで混ぜていると、我知らずため息が零れる。

「どうかしました?」

耳聡い王子さんに指摘されてようやく、自分がお料理中だということを思い出す。

「すいません!!集中します!!」

またポタージュの塩加減を間違えたら、今度こそ愛想を尽かされてしまう!!

私は先週の失敗を繰り返さないように慎重に味見を行うと、ポタージュを冷蔵庫にしまった。

よしよし、今度こそ美味しく出来あがってね?

冷蔵庫の前で熱心にポタージュに念を送っていると、シンクで野菜を洗っていた王子さんが悩みの種となっている例の案件について尋ねてきた。

「お姉さんのお披露目会の準備は順調ですか?」

……上手く行っていたらため息なんてついていませんよ、王子さん。

「それが……最初の会場決めから難航しています……」

実はレッスンの前日である金曜日に、つぐみ姉にお披露目会の候補会場リストをメールで送ったのだか……。

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