ランチタイムの王子様!

<お話になりませんね>

「え?」

メールを送って数分後。早速、つぐみ姉から電話が掛かってきたが、その反応は私が予想していたものと異なっていた。

ゆりあさんも心配そうな表情で受話器の反対側から聞き耳を立てている。

「ご希望頂いた条件で探させて頂いたのですが……」

時間がないため下見をしている暇もないので、条件をいくつか提示してもらったのだ。

つぐみ姉の出した条件は3つだ。50人以上収容できて、駅から徒歩10分以内であり、ゲストが寛げそうな落ち着いた空間だということ。

候補会場リストはゆりあさんから渡されたファイルの中から、条件に沿ったものを私が選んで提示した。

<これではカジュアルすぎます。お披露目会には会社の重役たちも顔を出して頂ける予定なんです。友人だけのパーティーじゃないんですよ?>

つぐみ姉の言っていることがごもっとも過ぎて、私は何も言い返すことが出来なかった。

……会場を選ぶ基準をつぐみ姉の職場の立場ではなく自分の好みに置いていたことに気がついてしまったからだ。

「貸してくれる?」

完全に固まってしまった私を見かねて、ゆりあさんが代わりに受話器を取る。

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