ランチタイムの王子様!

「お披露目会、来週だもんね」

「はい」

難航していた会場も何とかOKをもらい、招待状も、ドレスも、お花も全て手配済みだ。どう足掻こうが当日まで出来ることはほとんどない。

「あんまり根を詰めないこと。ブライダルは体力勝負なんだからね?」

「はーい」

ゆりあさんはそう注意すると、ふわんと良い匂いの香水を漂わせながら帰っていった。

(さあて、もうひと踏ん張りしますか!!)

気合を入れ直すように拳を振り上げると、雑貨屋で買ってきたアルバムにつぐみ姉と旦那様の写真をペタペタと貼っていく。

幸せになりますようにと祈りを込めながら、ひとつずつ丁寧かつ慎重に。

写真を加工する技術もデザインセンスも持ち合わせていないので、ネットで見た手作りアルバムの作り方を参考にする。

それでも、ふちにシールやマーカーで飾りをつけてメッセージを書き足していくと、誰かの人生の節目に立ち会えることに自信と誇りのようなものがムクムクと湧いてくる。

……単なる事務員よりも向いているかもしれない。

転職してからどことなくギクシャクしているつぐみ姉にもこの気持ちを認めてもらえるといいなあ。

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