ランチタイムの王子様!

……それから、どれくらいの時間が経っただろう。

ほんの10分にも思えたし、1時間も経ったようにも思えた。カチカチと進む時計の針が過ぎ去った時間の長さを知らせている。

(ん~。そろそろ帰ろうかな……)

私は凝りに凝った肩を揉みながら、強張っていた身体をほぐすように首を左右に傾けた。

いくらつぐみ姉のためとはいえ、数時間ぶっ続けで作業していると疲れが溜まってしまって明日の業務に支障が出そうだ。

デスクに広げたシールや写真の切れ端を片付けていると突如、ひと気のない廊下からコツコツという靴音が近づいてきて不審に思う。

(こんな時間に……?)

警備員の定期巡回はとっくの昔にやって来たし、こんな夜更けにオフィスを訪問するような顧客はいない。

最悪の予想が頭に思い浮かぶ。

静まり返った人気のないオフィスにやってくる客人と言えば……。

(……泥棒?)

訝しんで目を細めて様子を窺っていると、靴音がピタリと我がオフィスの扉の前で止まる。

(やだ、どうしよう!!)

ガチャリと捻られたドアノブを見て、パニックに陥ってしまう。

「きゃあっ!!」

私は恐怖のあまり悲鳴を上げると、隠れるところなど皆無のオフィスの中で唯一頑丈そうなデスクの下に蹲った。

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