ランチタイムの王子様!

反省、反省。熱いものを食べる時はちゃんと冷まさないとね。

ふうふうと息を吹きかけて、ようやく二口目を頂く。トロッと滑らかなホワイトソースとチーズの塩気、エビのプリッとした歯ごたえが疲れた身体に活力をくれる。

やっぱり王子さんの作るご飯っていいなあ。

ジーンと噛みしめるようにスプーンを咥えていると、王子さんがいつぞやの蕩けそうな笑顔で私を見ていて、ドキリと胸が高鳴る。

「何事も一生懸命やるのは良いことですが、ほどほどにしなさい。今日は送って行ってあげますから一緒に帰りましょう」

王子さんらしからぬ優しい台詞が、ジンワリと胸に染み渡る。

(心配してくれたのかな……?)

王子さんは私がグラタンを完食するのを、ただ隣に座って待っていてくれた。

……王子さんのご飯が美味しいのは、そこに彼の思いやりが入っているからかもしれない。

薄暗いふたりきりのオフィスで、私は彼の新たな一面を垣間見たような気がした。

< 141 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop