ランチタイムの王子様!
なるほど、様子を見てこいって言ったのはそういう意図があったのか。
お披露目会の前では、さしものつぐみ姉も緊張しているようだ。そんな時、知っている顔が近くにいるというのはホッとするものだ。
「イアリングつけてもらえる?」
専属のお仕度係の人がいるのに、私がやっても良いものなのか……。
確認するようにお仕度係の人をチラッと見ると、彼女たちはどうぞと言わんばかりに微笑んで場を譲ってくれた。ドレッサーの上に置いてあったパールのイアリングを取り上げ、つぐみ姉の耳につけていく。
「退職の準備は出来ているのかしら?」
「え?」
「私を納得させられるお披露目会じゃなかったら、辞めさせるって言ったでしょう?」
(わ、忘れてた……)
お披露目会の準備でてんてこ舞いだったおかげですっかり忘れていた!!
「さて、お手並み拝見と行きましょうか?」
つぐみ姉は鏡の前でふふふと、さも楽しそうな黒い笑みを浮かべたのだった。