ランチタイムの王子様!
「そんなに信用ないんですかね、私って……」
自分の頑張りが全部無駄だったみたいで、情けないほどに打ちひしがれてしまう。
今にも泣き出してしまいそうな顔を見せないように伏せると、弘忠さんがそっと私の肩を叩いた。
「つぐみもね、ひばりちゃんに意地悪したいわけじゃないんだよ。つぐみなりにひばりちゃんのことが心配だっただけなんだ。それだけは分かってあげて欲しい。
ひばりちゃんが前の会社を辞めた時、つぐみは相当気にしていたんだ。お局さんに虐められていることに気付けなかったって」
「だって……それは。つぐみ姉の方が忙しくて話す時間もなかったし……。だいいち、私が辞めたのはつぐみ姉のせいじゃないのに……」
ロールケーキを食べられて激怒した私がいけないのであって、つぐみ姉が責任を感じることはない。
弘忠さんは大きな掌で私の頭をワシャワシャと掻き回すと、扉の向こうにいるであろう花嫁を指差した。
「できれば同じことを本人にも伝えてもらえる?いつまで経っても心配性なんだよ、君のお姉さんは」
弘忠さんはそう言うと胸ポケットに入れていたハンカチーフを私に貸してくれた。